中国語の勉強をしている方の中にはHSKを受けようという方も多いかと思います。
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- HSK3級に合格したい!
- HSK3級のレベルや難易度を知りたい!
- どんな勉強をすれば合格できるのか知りたい!
というような方にとっては必見の内容です。
HSK3級の試験内容に
まずはじめに試験の内容について解説します。
HSKは1級から6級までの試験で、1級が入門レベル、そして6級が上級レベルと、数字が上がるとそのレベルも高くなります。
HSK3級の試験時間は約85分(1時間25分)で、以下の3パートに分かれます。
- リスニング
- 読解
- 作文
リスニング試験の内容
リスニング試験の時間は約35分。
第1部分から第4部分の4パートに分かれていて、問題数は各10題、計40題出題されます。
パート | 形式 | 問題内容 | 問題数 |
---|---|---|---|
第1部分 | 写真を選択する問題 | 短い会話が放送され、数枚の写真から内容が一致するものを選ぶ。 | 10題 |
第2部分 | 正誤判断の問題 | 短文が放送され、その内容と、問題用紙に与えられた短文の内容が一致するかを判断する。 | 10題 |
第3部分 | 会話の内容に関する問題 | 2人の短い会話とその内容に関する問いが放送される。問いの答えとして正しいものを3つの選択肢の中から選ぶ。 | 10題 |
第4部分 | 会話の内容に関する問題 | 2人のやや長い会話とその会話の内容に関する問いが放送される。問いの答えとして正しいものを3つの選択肢の中から選ぶ。 | 10題 |
リスニング試験の問題は、それぞれ2回ずつ放送され、リスニング試験が全て終わったら、「解答用紙記入予備時間」として5分間の時間が与えられた後、読解試験に移ります。
読解試験の内容
リスニング試験の時間は約30分。
第1部分から第3部分の3パートに分かれていて、問題数は各10題、計30題出題されます。
パート | 形式 | 問題内容 | 問題数 |
---|---|---|---|
第1部分 | 関係のある文を組み合わせる問題 | 与えられた短文に対し、関連(対応)する文を選択肢の中から選び、組み合わせる。 | 10題 |
第2部分 | 空所補充問題 | 文中の空所部分に、選択肢の中から適切な単語を1つ補い、意味の通る文を作る。 | 10題 |
第3部分 | 文の内容に関する問題 | 短文とその内容に関する問いが与えられており、問いの答えとして正しいものを3つの選択肢の中から選ぶ。 | 10題 |
作文試験の内容
最後のパートである作文試験の時間は15分。
第1部分と第2部分の2パートに分かれていて、問題数は各5題、計10題出されます。
パート | 形式 | 問題内容 | 問題数 |
---|---|---|---|
第1部分 | 語句の並べ替え問題 | 与えられた複数の語句を並び替えて正しい中国語文を作る。 | 5題 |
第2部分 | 空所補充問題 | 文の意味を理解して、文中の空所に当てはまる漢字を書く。 | 5題 |
合格ライン
リスニング、読解、作文の配点はそれぞれ100点で、合計300点で評価されます。
合格基準は6割なので、180点以上のスコアが取れれば合格です。
HSKの受験は3級から?
中国語は漢字が使われているという理由で、HSK1級・2級については、日本人の学習者にとってはかなり簡単と感じます。なので、HSK3級から受験する人が多いです。
ただ、これはあくまでも目安で、2級をちゃんと合格させてから進みたいという方もいれば、もう3級も受けずに最初から4級を目指すという方もいます。3級はバランスの良い目標設定と言えますね。
HSK3級のレベルってどれくらい?
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では、HSK3級に合格すると、具体的にはどんなレベルだと考えてもらえるのでしょうか?
「国家漢弁」によるHSK3級のレベル
「国家漢弁」という機関、おそらく全く馴染みが無いかと思うのですが、中国教育部(日本の文科省のようなところ)に所属する公的機関で、HSKのテストプラグラムを開発している機関です。
この「国家漢弁」によると、HSK3級は以下のレベルとされています。
生活・学習・仕事などの場面で基本的なコミュニケーションができ、中国旅行の際にも大部分のことに対応出来る。
語彙数でいうと、600語程度をマスターしているレベルとのことです。
発音・語彙・文法、それぞれのレベルを具体的に紹介すると、「国家漢弁」による「発音」のレベルは以下の通りです。
- ピンインに対して一定の理解があること
- ピンインに基づき熟知していない単語やセンテンスを読み上げることが出来る
- 日常会話の中で、続けて変調などピンインの変化が起きるフレーズを聞き取ることが出来る
- 日常会話の中で、発音・イントネーションを基本的に正しく発音することが出来る
「語彙」のレベルは以下の通りです。
- 450語程度の常用漢字を把握し、読む・書く・聞く・話すことが出来る
- 文字の成分や漢字の部首を理解している
- 文字の音・形・意味の更に進んだ識別が出来る
- フレーズの中の言葉の意味を基本的に理解出来る
- 学んだフレーズを使って適切に表現出来る
- 約900語の日常生活、学習、仕事に関する言葉を把握する
「文法」のレベルは以下の通りです。
- 常用される能願動詞、介詞
- 比較文の基本的用法
- 今、行われている事柄や行為を言い表す方法
- 助詞の「了」の基本的用法
- 「没有」を使った否定文の理解と把握をすることが出来る
HSK3級でできるコミュニケーションレベルとは?
試験に合格できても、コミュニケーションがとれなければ意味がないと考える人も多いですよね。HSK3級に合格できたら、どれくらいのレベルのコミュニケーションが可能になるのか、具体的に紹介します。
「リスニング」のコミュニケーション能力
・日常生活もしくは中国語学習の中での簡単な会話や口述が理解でき、よくあるコミュニケーション的なフレーズや要望などを聞き取ることが出来て、最低限の生活や学習で使う基本的なニーズを満たすことが出来る。その中には下記の内容を含む。
- 日常生活や学習の中での会話や、簡単で短い発言の大意が理解出来て、会話や発言の中の基本的な情報を聞き取ることが出来る
- 会話の中の重要語句、フレーズを掴むことが出来る
- 個人の生活や経歴に関する簡単で短い会話を聞き取ることが出来る
- 一般常識的な簡単且つ直接的な問題を聞き取ることが出来る
- 雑談、一般的な説明または電話の会話の中の基本的情報を捉えることが出来る
- 簡単な物語のあらすじを理解することが出来る
「スピーキング」のコミュニケーション能力
簡単な対話に参加して、個人の考えや要望を基本的に表現し、少々複雑な文を模倣して作ることが出来る。よく知っている事柄や生活の中で起こることに対して、簡単に述べることが出来る。その中には下記の内容を含む。
- アクセント、ポーズ、イントネーションまたはジェスチャーなどの方法を使って、話しの調子を高めることを把握する
- 簡単な日常の対話に加わり、個人の要望を述べる
- 日常生活及び学習の中のよく知っている話題について他人と簡単な交流、もしくは簡単に口述することが出来る
- 個人や日常生活及び学習の中でよくある事柄や活動または個人の経歴について簡単な描写が出来る
- 日常生活の中での事に対して明確な態度を取り、更にある現象や状況を簡単に描写することが出来る
- 簡単で短い物語を述べることが出来る
最初にお伝えした「中国旅行の際にも大部分のことに対応出来る」レベルと言うことになります。
ただ、私がHSK3級に合格した時のことを思い返すと、ちょっと「大部分のことに対応できる」とまで言うには満点近くで合格できていないといけないとは思います。もっというと、単語単位で聞こえるものが増えて来るので、シーンや状況によって、必要な単語を聞き取って、自分の言いたいことを伝えてという感じで乗り越えられるイメージを持っておくと良いです。
つまり、あくまでもHSK3級合格というのはまだ基礎レベルではありますが、それでも、この基礎を曖昧にしたまま次に進んでも高いレベルへの到達は難しいので、むしろ満点を狙うくらいの気持ちで取り組むと良いです。
中国語検定だと何級レベル?
HSKを受けようという方の中には、中国語検定(以下「中検」と言います)の受験と迷っていたり、あるいはHSK3級は中検でいうところの何級くらいに相当するのかを確認したいですよね。
HSKと中検はそれぞれ性質の異なる試験ではありますが、日本中国語検定協会でもHSKと中国語検定の比較表を公表してくれています。以下は中国語検定のサイトからの引用です。
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この対比表によると、HSK3級は中国語検定の4級相当ということになります。
HSK3級は就職や転職に有利?履歴書に書ける?
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たまに「中国語を勉強するメリットを教えてください!」と聞かれることがあります。
もちろんメリットはたくさんありますが、ここではHSK3級に合格したらどんなメリットがあるのかということを紹介します。
まず1番のメリットとしては、心置きなく4級が目指せるというところでしょうか。それって3級のメリットじゃない、と言われそうですが、あくまでも3級は多くの方の目標の通過地点であることが多いです。なので、まず自分の目指すゴールに向けて基礎固めができた証明になるというのは1つのメリットと言えます。
また、履歴書などに書けるかどうかという点については、他のスキルと併せて書くことであなたの強みを示すものになります。もし中国語をメインでビジネスをするという環境の場合、3級は大きな武器にはなりませんが、その他のマネジメントスキルや、英語などの他言語スキルが高い場合、それをメインに書き、ちなみに少し中国語もできますという書き方であれば誤解も与えずにアピールが可能です。
また、履歴書などに書く場合、面接官がHSKを知らないことも多いので、HSKの3級がどういうレベルで、自分はどのようにそれを学んだのかということまで書くと良いでしょう。
勉強時間に目安はあるの?
HSK3級に合格するための学習時間目安はどれくらいでしょうか?
HSKの公式サイトによると、HSK3級の学習目安は「大学の第二外国語における第二年度前期履修程度」とされており、一般的な時間数にすると約135時間となります。
つまり、毎日1時間の勉強を続けた場合は4.5ヵ月ということになります。
ただ、これはあくまでも目安なので、本気で毎日2時間は頑張るぞという場合には3ヵ月程度の合格も目指すことが可能です。
HSK3級の勉強方法と対策
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勉強方法や対策については、画一的なものがあるわけではありませんが、とは言えHSK3級合格までは基本の文法知識やリスニング力の向上が必要になるので、ある程度やるべきことは決まっています。以下の4つの項目でそれぞれを取り組むことで合格できます。
- 発音
- 単語
- 文法
- リスニング
発音
発音の基本として、中国語で使用されている発音記号「ピンイン」を理解する必要があります。
基礎的なテキストであればこの「ピンイン」の基礎知識については必ず記載されているので、音源付きのテキストを選び、ピンインの仕組みと、それが実際にどのように発音されるかを理解するところから始めましょう。
発音に特化したテキストなどもありますが、まずは基礎的な内容を身につけてから、今後改めて発音を集中してトレーニングしたいというタイミングで特化したテキストを入手するという方が良いです。(発音だけに一生懸命になりすぎると、他のものに進めなくなってしまい、やる気もなくなってしまうので。)
単語
単語についてはHSK3級用の単語帳を入手するか、今はアプリでの勉強も有効なので、アプリなどを使って暗記していきましょう。「単語だけをたくさん暗記してもどうせ忘れてしまう」と考える人もいるかもしれませんが、HSKでは各級で使われる単語について一定の規定があり、簡単に言うと決まった単語ばかりがバンバン出てきます。
なので、一度一気に単語を詰め込んでしまい、その後過去問などを解く中で文として覚え、定着させていくという方法がベストです。
また、単語帳でもアプリでも、必ず音がついているものを選びましょう。日本人にとって単語を見てわかるというのはかなり簡単です。聞いてわかるようにすることに全力を注ぎましょう。
文法
文法については基本的なテキストを1冊準備して、特に語順がどうなっているのかを確認しながら進めましょう。
中国語は特に最初の文法はそれほど難しくはないのですが、語順が変わると意味が変わってしまうので、どういう語順で主語・動詞・目的語が並ぶのか、時間や場所はどこに置くのか、否定する時はどうするのか、という視点で読み込むと間違えにくいです。
リスニング
リスニングについては一番大切なのは音読です。
漢字に頼ってしまうといつまで経ってもリスニング力が身に付きません。
ピンインを見ながらテキストの音源を聞いて、繰り返し音読しましょう。自分が言えない音は聞こえないと言われています。なので、発音の練習ともつながりますが、しっかりとした発音で正しく音読を繰り返すことがリスニングの近道です。
過去問の効果的な活用方法
今回はHSK3級合格の方法についてを紹介しています。HSKは試験なので、必ず試験対策として過去問を解くようにしましょう。
スプリックスという出版社から過去問のテキストが出ていて、1冊の中に過去5回分の問題が収録されているので、過去問を解いた後、日本語の解説を確認し、正解不正解をチェックしてください。
そして、不正解だった問題だけでなく、正解した問題についても解答根拠を説明できる状態で正解できるかどうかをゴールにしましょう。回答根拠が曖昧なまま正解できても、次回同じような問題で間違えてしまう可能性が高いです。
5回分の問題全て根拠を持って正解ができるレベルまで高められれば必ず合格します。
HSK3級の対策におすすめの市販テキスト
ここではHSK3級に合格するためにおすすめの市販テキストについて紹介します。
中国で使われている中国語で書かれた参考書などもありますが、特に初級段階でHSK3級合格を狙う場合には、できれば日本人のために日本語で書かれたテキストを選ぶと良いです。
おすすめの文法テキスト
「新ゼロからスタート中国語 文法編」 王丹著 Jリサーチ出版
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こちらのテキストは初級の人が手に取りやすく、内容も絞られているので、何でもかんでも取り入れようとしてパンクしてしまうよりも、必要な内容を最低限身につけるのにとても良いテキストです。
このテキストで勉強したあとは、文法応用編もあるので、そちらに進むことでHSK4級の対策にもなります。
おすすめの発音テキスト
「日本人のための中国語発音完全教本」盧尤著 アスク出版
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発音に特化したテキストも多くありますが、このテキストをおすすめするのは、YouTube動画とセットになっているためです。本当は発音については最初のうちに先生について学ぶのが良いですが、まずは独学ではじめようという場合には、口の形や動きがわかる動画付きのものでないとなかなか難しいので、この本を選ぶようにしましょう。
また、働きながら中国語を学ぶという忙しい方にはアプリなどを使い、隙間時間を利用して学ぶのも有効です。
HSK3級対策におすすめの中国語学習アプリ
HSK対策として使うと良いアプリは2つです。
1.HSK公認単語トレーニングアプリ
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こちらはHSKの規定に沿って、HSK各級で出題される単語を学べるアプリです。全ての単語に音声と例文がついているだけでなく、苦手な単語にはマークをつけて、後から苦手だけを学ぶこともできる良いアプリです。
アプリの詳細はこちら
2.HSK Online
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こちらは単語だけでなく、文法などについても学べるアプリです。ちょっとした隙間時間に、テキストでは勉強しにくいという方はこうしたアプリを活用するのも良いですね。ただ、本と比べるとどうしても自分がどこまでやっているのかなどがわかりにくくなるので、個人的には補助教材としておすすめです。
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最後に
HSKの資格試験は、資格そのものに意味があるということもありますが、中国語を勉強する時に、自分がどの位置にいるのかという目安としての役割もとても大きいです。
なので、HSKでも中検でも良いのですが、まずは少しだけ背伸びした級をもう申し込んでしまうというのが良いと思います。そして、その受験日に向けてコツコツと勉強していきましょう。
みなさんが楽しい中国語ライフを送れますように。