中国語の資格・検定試験7つを比較!それぞれの特徴は?

「中国語の検定資格を取得したいけど、どの試験を受けたらいいのかわからない」という方は多いかと思います。この記事では中国語の代表的な資格・検定試験について、それぞれの特徴や、どういう人におすすめかを紹介します。

代表的な中国語の資格

この記事で紹介する代表的な中国語の資格試験は以下の7つです。

  1. HSK
  2. 中国語検定
  3. TECC
  4. BCT
  5. C.TEST
  6. 通訳案内士
  7. TOCFL

それぞれの特徴を一言でまとめると、次のようになります。

資格・試験名特徴
HSK中国政府公認で、世界中で実施されている中国語能力試験。
中国語検定日本国内で中国語能力を試す、日本人向けの試験。
TECC日常的な、中国語でのコミュニケーション能力が試される。
BCTビジネスにおける「聞く」「話す」に特化した試験。
C.TESTビジネスにおける、中国語会話能力を測定する。
通訳案内士プロとして、中国語で観光客を案内するための国家資格。
TOCFL台湾の繁体字に特化した能力試験。

ここからは、それぞれの資格・検定試験について、具体的に紹介していきます。

HSKとは

HSKとは、中国政府が公認している、中国語の運用能力を測定する試験で、「汉语水平考试(Hànyǔ Shuǐpíng Kǎoshì)=中国語レベルテスト」の頭文字をとってHSKと言います。

ここからHSKの概要を解説していきます。

HSKの特徴

HSKは、中国政府教育部の直轄機関が主催している資格試験です。

世界118ヶ国でテストが実施されていて、中国語を世界標準で証明するのに、最も適している試験と言えます。

そのため、中国留学するための要件としてHSKの取得が求められたり、グローバル企業で中国語に関わる業務を行う場合には、中国語能力のアピールにも使えます。

HSKの試験内容

HSKの試験は、リスニング・リーディング・ライティングの3項目で構成されています。

レベルは難易度によって1〜6級に分けられていて、数字が大きくなるにつれて難易度が高くなります。

詳細は以下の表をご覧ください。(引用元:HSKホームページ)

世界中の人が受ける試験なので、試験問題は全て中国語です。

HSKの料金

HSKのレベルごとの料金について、2021年に実施される試験を元に表にまとめたので、ご確認ください。

料金
1級3,740円
2級4,950円
3級6,160円
4級7,370円
5級8,580円
6級9,790円
(参照元:HSKホームページ)

HSKを取得するメリット

HSKを取得するメリットは、次の3つがあります。

  1. レベルが細かく分かれていて、学習ペースに利用できる
  2. 中国の高校や大学への留学要件を満たすことができる
  3. グローバル企業で中国語能力を証明することができる

中国の大学では、留学生に対してHSKの取得を求めているところが多いです。

またHSKは、世界基準の中国語能力試験なので、グローバル企業で中国語を活かして活躍したい方は、うまくアピールをすることで語学力の良い証明になります。

HSKの受験をおすすめする人

HSKの受験は、中国語を勉強している全ての人におすすめできます。ただ、特に中国語を使って留学したい人や仕事で中国語能力をアピールしたい人におすすめです。

中国の大学のなかでも、北京大学や清華大学などの有名大学は、HSK5級以上の取得を留学の要件にしています。

また中国で、就労ビザを取得するのにも、HSKの取得で有利になります。

つまり、HSKは、進学や仕事、生活するうえで役立つ資格試験と言えます。

HSKについてより詳細を知りたい方はこちらもご覧ください。

中国語検定とは

中国語検定は、日本語を母語とする中国語学習者向けの検定・資格試験です。

ここから詳しい特徴を解説します。

中国語検定の特徴

中国語検定は、日本の一般財団法人である日本中国語検定協会が主催している試験です。

日本語を、母国語とする人向けの試験なので、中国語を訳すという翻訳の能力も問われる試験です。

英検などの影響も有るかと思いますが、日本では、とても知名度が高いので、日本企業で中国語能力をアピールする場合に適してます。

中国語検定の試験内容

中国語検定の試験内容は、リスニング・筆記(読解中心)です。

レベルは、準4級から1級です。

HSKと中検(中国語検定)は、2つの有名な試験なのでよく比較をされるのですが、中検は日本語を母国語とする人のための中国語能力試験であるため、翻訳能力が試されるということ、また、1級の難易度はとても高く、HSKよりも難しいです。

また、準1級と1級では面接による二次試験が設けられています。

中国語検定の料金

中国語検定のレベルごとの料金は、次のようになっています。

インターネット申込の料金郵送申込の料金
準4級3,000円3,200円
4級4,000円4,200円
3級5,000円5,200円
2級7,000円7,200円
準1級8,500円8,700円
1級9,500円9,700円
(引用元:一般社団法人日本中国語検定協会

HSKと近い料金体系になっています。

中国語検定を取得するメリット

中国語検定を取得するメリットは、日本企業や学校での中国語能力のアピールになるということです。

日本国内に限られますが、中国語をよく知らない人でも「中検」というとイメージがつきやすいので、中国語能力をわかりやすく伝えられます。

また中国語検定は、翻訳能力が求められる試験なので、試験対策を通じて翻訳力を高めることもできます。

中国語検定の受験をおすすめする人

中国語検定の受験をおすすめするのは、以下のような方です。

  1. HSK6級後の目標が欲しい方(準1級や1級を目指すのがおすすめ)
  2. 翻訳家を目指している方
  3. 中国語能力を国内企業や教育機関へ証明したい方

中国語検定は、運営団体が日本にあるため、試験会場での案内は日本語であったり、HSKよりも身近に感じる試験です。

学校などでは中検の受験を勧められることもあるようなので、大学で勉強している方などは、まずは中国語検定を受けてみるのも良いでしょう。

また、中国語の翻訳家を目指している方などにもおすすめです。

TECCとは

TECCとは、「Test of Communicative Chinese」を省略したもので、中国語のコミュニケーション能力を測定するための試験です。

具体的な試験の特徴は以下の通りで、HSKや中国語検定とは異なるものです。

TECCの特徴

TECCは、中国語コミュニケーション協会によって主催されている資格・検定試験です。

中国語でのコミュニケーションに特化した試験で、日常生活やビジネスでよく使われる表現や能力を問われます。

そのため、企業などが社員の中国語能力を測定するために導入することも多いようです。

TECCの試験内容

0〜1000点までのスコア式で、レベル分けが無いため、試験のための勉強ではなく、シンプルに今の実力を定量的にはかることができます。

2021年10月現在、無料のプレテストを実施していたり、自宅で受験可能なオンラインテストであるなど、今後より受講する人が増えてくると考えられます。

試験はリスニングとリーディングで、それぞれ4部構成、合計8部構成になっています。

詳しくは、以下の図のようになっています。(引用元:TECCホームページ)

TECCの料金

TECCの料金は、6,480円で、約2ヶ月間の申し込み期間が設定されています。

会場は、東京や大阪などの主要9都市となっていますが、自宅でオンラインでの受験も可能になる予定です。

TECCを取得するメリット

TECCは、級毎に受験するスタイルではなく、スコアによって自分の中国語能力がわかるので、正確な実力を把握することができます。

また、中国語のコミュニケーション能力を特に学習したいなら、試験対策をすることで実務などで使うことができる力を身に付けることも可能です。

企業内の能力測定に活用されることもあるので、高スコアの取得で、今後希望の業務をするうえで手を挙げやすくなるかもしれません。

TECCの受験をおすすめする人

TECCの受験をおすすめするのは、中国語を活かした仕事を探している学生や、会社で中国語能力をアピールしたい社会人の方です。

社内でTECCを導入している企業もあるので、仕事の幅を広げたいという方はぜひ活用してみてください。

BCTとは

BCTとは「Business Chinese Test」の省略で、全世界で行われている国際基準の標準試験です。

ここから詳細を説明していきます。

BCTの特徴

BCTはその試験名の通りで、ビジネスでのリアルなシーンを想定した実用性の高い試験で、受験者のビジネス中国語応用能力を測定するものです。

中国語教育部の国家漢語国際普及指導グループが主催しています。

BCTの試験内容

BCTには、BCT-A(初級レベル)とBCT-B(中・上級レベル)、2つのレベルがあります。

BCT-Aは、ヒアリング・読解・漢字を書く、という3技能から成り立っています。

試験時間は60分です。

BCT-Bは、ヒアリング・読解・作文、3技能で145分間という試験です。

BCTの料金

料金は、BCT-Aが5,000円、BCT-Bが8,500円で、他の試験と比べてやや割高です。

BCTを取得するメリット

レベル分けが細かすぎないので、点数をもとに、今の自分の実力を正確に把握することができます。

特に初級者向けには専用の試験が準備されているため、力試としての利用も可能です。

またビジネスに特化した内容の試験なので、ビジネス中国語の力を測定するにも最適です。

BCTの受験をおすすめする人

中国語に関心があり、勉強を始めたばかりの人にはBCT-Aの受験がおすすめです。

また実際にビジネスで利用したい方、すでに利用されている方には、ビジネスでの実用的な中国語能力を試す試験としての活用がおすすめです。

C.TESTとは

C.TESTは、留学以外の目的で実践的な中国語能力を測定したい人向けに開発された資格試験です。

C.TESTの特徴や試験内容、料金などを紹介していきます。

C.TESTの特徴

C.TESTは、北京言語大学の漢語試験研究所が主催している資格・検定試験です。

2006年から始まっている比較的新しく開発された試験です。

中国で実践的な中国語運用ができるかを問われる国際標準の試験です。国際標準の試験であるという点ではHSKと同じですが、HSKは留学を前提とした試験、C.TESTはより実用的な運用を測定するための試験という違いがあります。

C.TESTの試験内容

C.TESTは、毎年1回実施されます。

試験は「A-Dレベル試験」と「Gレベル試験」の2種類です。

また、会話試験も準備されていて、こちらは北京語言大学とインターネット回線で結ぶ対面試験です。

A-Dレベル試験

A-Dレベル試験は、中・上級者向けで1,000点満点の試験です。

試験内容は以下の通り、リスニングとリーディングに加え、作文問題も含まれます。(引用元:C.TESTホームページ)

Gレベル試験

Gレベル試験は、学習時間が150〜300時間程度の初心者が対象です。

100点満点で、60点が合格点です。

C.TEST会話試験

会話試験は、10〜15分程度で、ネット回線でつないだ試験官と実際に会話を行います。

レベルはA〜Fで測定されます。

受験者の会話レベルに応じた試験問題が出題されます。

C.TESTの料金

C.TESTの料金は、A-Dレベル試験が4,500円、Gレベル試験が3,500円です。

会話試験も3,500円です。

C.TESTを取得するメリット

HSKとは異なり、留学要件として求めらることはないので、気負うことなく自分の中国語能力を試せます。

試験の主催者である北京言語大学の漢語試験研究所はHSKの開発にも関わっていたため、HSK受験の力試しとしても有効です。

また会話試験は、実際に会話をするので、本当の会話力をはかる試験とも言えます。

C.TESTの受験をおすすめする人

C.TESTの受験をおすすめするのは、実践的な中国語能力を試したい方です。

留学目的以外の、実践的な中国語能力を試す試験なので、試験の内容もより実践的です。

通訳案内士とは

通訳案内士は、日本に来た外国観光客向けに通訳ガイドをするための国家資格です。

試験対象となる言語は、英語・中国語だけでなく、フランス語、ドイツ語、ロシア語など多種に渡ります。

通訳案内士の特徴

通訳案内士試験は、日本政府観光局が運営している資格試験です。

試験の目的が「通訳案内士を選出すること」ということで、中国語能力の証明として活用することを想定した、他の中国語能力試験とは、試験の性質が異なるでしょう。

全国通訳案内士は、通訳案内士法において「報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすることをいう。)を業とする。」とされています。

(引用元:日本政府観光局ホームページ

通訳案内士の試験内容

通訳案内士試験は、筆記試験である一次試験と、面接試験の二次試験に分かれています。

一次試験(筆記試験)

一次試験は、以下の科目で構成されています。

  1. 中国語試験
  2. 日本地理
  3. 日本史
  4. 一般常識(日本の産業、政治経済、文化など)
  5. 通訳案内士の実務

中国語試験は、マーク式と記述式の両方があります。

また、それぞれの科目で合否判定され、合格基準は7割程度です。

HSK6級180点以上、中国語検定準1級を保有している場合は、中国語試験は免除になります。

二次試験(面接試験)

二次試験の問題は、以下の2つです。

  1. 通訳問題
  2. プレゼンテーション問題

通訳問題は、試験官が読み上げる日本語を中国語に訳すものです。

プレゼンテーション問題は、提示された3つのテーマから1つを選択し、そのテーマについて中国語で説明をします。

試験時間は10分程度で、通訳案内士としての、実践的な力を問う内容と言えます。

通訳案内士の料金

通訳案内士の受験料金は11,700円です。

中国語選択者の合格率は10%未満と、かなりの難関試験と言えます。

通訳案内士を取得するメリット

通訳案内士を取得するメリットは、プロとして外国人観光客向けにガイドができることです。

コロナ禍の前は、中国からの観光客は全国的に増加傾向にあり、中国語の通訳案内士は不足していました。

今後のことを考えると、国家資格である通訳案内士試験に合格すれば、ガイドを生業に活躍できる可能性が高まります。

通訳案内士の受験をおすすめする人

プロとして外国人観光客向けにガイドをしたい人におすすめです。また、中国語や日本の地理、歴史が好きで、その知識を人に伝えたいという気持ちがある方にもおすすめです。

TOCFLとは

TOCFLとは、「Test of Chinese as Foreign Language」を省略したもので、台湾への留学で特に活用できる中国語能力試験です。

中国語能力試験の中では唯一の繁体字による試験です。

TOCFLの特徴

国家中国語能力試験推進委員会が主催している資格・検定試験です。

TOCFLは、国立台湾師範大学の中国語教学センター、中国語教育研究科、心理教育試験センターの共同研究で開発された、台湾での日常的な中国語の運用能力を測定するための試験です。

台湾の大学への留学や、奨学金の申請、台湾で就職する際の証明として活用できます。

TOCFLの試験内容

試験は、読解・聴解の2種類から構成されていて、全て繁体字による試験です。

レベルは、以下の6つに分かれています。

  1. 入門級
  2. 基礎級
  3. 進階級
  4. 高階級
  5. 流利級
  6. 精通級

試験は日常的なだけでなく、そのジャンルも豊富で、広告や天気予報、芸術などから出題されます。

TOCFLの料金

料金はどのレベルでも一律5,000円です。

TOCFLを取得するメリット

TOCFLを取得するメリットは、台湾での留学や就職の際の公式な中国語能力証明になることです。

TOCFLを取得することで、台湾の大学へ留学できる可能性が広がります。

以下の表は、台湾にあるTOCFLを活用できる大学の一覧です。

(引用元:TOCFLホームページ

TOCFLの受験をおすすめする人

繁体字の中国語を学びたい方、台湾への留学・就職を検討している方にとってはおすすめです。

あるいは、ただ台湾が好きで、よく遊びに行くという方が受験をしても良いですね。

まとめ

ここまで、代表的な7つの中国語の資格・検定試験を紹介してきました。

各試験をまとめた表を再掲しておきます。

資格・試験名特徴
HSK中国政府公認で、世界中で実施されている中国語能力試験。
中国語検定日本国内で中国語能力を試す、日本人向けの試験。
TECC日常的な、中国語でのコミュニケーション能力が試される。
BCTビジネスにおける「聞く」「話す」に特化した試験。
C.TESTビジネスにおける、中国語会話能力を測定する。
通訳案内士プロとして、中国語で観光客を案内するための国家資格。
TOCFL台湾の繁体字に特化した能力試験。

中国語能力試験は、それぞれに目的と特徴があるので、本記事の内容を参考に、ご自身に適した試験を選択してもらえればと思います。

独学が難しいと思ったら

いざ受けるべき試験がわかったり、目指す級や点数がわかっても、勉強の方法や計画が難しい、独学では不安という方は「中国語コーチング」を受けてみるという選択肢もあります。

中国語コーチングについてはこちらの記事を参考にしてみてください。

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